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  • 執筆者の写真Ryuzo Akano

【店主赤野のサステナブルなカリフォルニア滞在記】第5回:旅の終わり

古佐古ファーム滞在中は、毎晩夕食が済んだ後にいろいろな話をしました。


世の中のこと、これまでのこと、将来のこと......


古佐古さんご夫婦は、どんな話題に対しても思いやりと愛情を持って耳を傾け、応えてくれました。


ひとしきり語り合った後のお楽しみは、敷地から眺める星空。



日本でも山間部などでは同じくらいの星が見られるかもしれませんが、カリフォルニアの動物や虫たちの鳴き声をバックに眺める星空はここだけのもの。


冬ということもあり夜はかなり冷え込むのですが、寒さを忘れるくらい何時間でも見ていたくなる美しさでした。





自給自足をしていると聞くと、節約を主目的とした生活を想像する方も多いかもしれません。


しかし僕がここでの体験を通して感じたのは、心身ともに健やかに暮らすための知識とスキルを自ら備えることの大切さ、そしてそれらがもたらしてくれる人間本来の豊かさでした。


試したことがないこと、やりたくないことは、対価を払い誰かに任せる。経済的な優位性さえ確保できれば成立してしまうでしょう。


果たして本当にそれで良いのだろうか。できないという思い込みによって、自らの暮らしを自ら作るという贅沢な機会を失っていたのかもしれない。


今回頭と体をフル稼働させることで得られた自信と解決能力は、表面的ではなく物事の本質を見極める大切な価値観を僕にもたらしてくれました。


「心身ともに健康であること」


今、あなたにとってのサステナブルとは? と問われたら、迷うことなくそう答えます。


プラスチックごみの削減、リサイクルやリユース、フードロスの削減など、サステナブルな活動はさまざまありますが、それらを行うためにもまずは自分自身が健康でいなければなりません。


今回の自給自足の生活体験は、本質的に健康であるための大きなヒントを与えてくれました。

そうして迎えた最終日の昼。


古佐古さんはいつもと変わらず丸太の整理をし、動物たちは元気に走り回っています。


車に荷物を積み込むと、古佐古さんとテラと再会の約束をし、サンフランシスコ方面に向けて出発。


「じゃあ、また明日!」と言ってしまいかねないほどあっさりとしたお別れでしたが、むしろそれが心地よくもありました。



山を抜けるとなだらかな丘陵地帯が続き、しばらくして見えてきたのは、旅の終わりが近いことを知らせるベイエリアの街並み。


また戻って来よう。その時には共感できる仲間たちと一緒に。


サンフランシスコの高層ビルが立ち並ぶ見慣れた風景を眺めながら、そう強く思うのでした。


<完>



 

帰国から1年......


旅を振り返りながら、Ring the Bell HAYAMAを続けられていることに感謝しています。


以前の自分であれば「サステナブル」という言葉を単にビジネス目的に利用することを考えていたでしょう。


しかし僕の一部がガラッと入れ替わったようなカリフォルニアでの日々を経て、人々が何よりもまず健康でいられて自然と社会とのつながりを思い起こすことのできる場になれたら、と店舗を持たない形でリスタート。


Ring the Bell HAYAMAは、今現在も、そしてこれからも、「うつわのお店」にとどまらず、変化し成長し続けるでしょう。

最後になりますが、この短い体験記を執筆するきっかけを作ってくださった方々に心よりお礼申し上げます。


今はまだ海外との往来が不自由な状況ですが、価値観に共感いただける方々と共に古佐古ファームをはじめ現地をめぐる旅へ、いつかきっと行きます。その時はぜひ、ご一緒しましょう!










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