top of page
  • 執筆者の写真Chie Nishimura

ハーブある暮らしのすすめ


photo by Yuka Yanazume

今年も春分を迎え、少しずつ体が縮こまるような寒さがなくなり、日差しに春を感じてくる季節がやってきました。

木々の芽もぷっくりとし、雑草も生きいきと緑が少しずつ増えてきます。


もう農家さんはとっくに春夏野菜の準備をしていて、ナスなどの苗づくりなどをしていますが

私たちのお庭やプランターでも、そろそろ春夏に向けてどんなものを植えてみようかと考えるのにちょうど良いタイミングです。


夏野菜は比較的作りやすいものが多いですが、それでも野菜作りにハードルを感じる場合におすすめなのは、ハーブ作りです。


photo by Yuka Yanazume

バジル、イタリアンパセリ、ルッコラ、タイム、コリアンダー(パクチー)などは種をパラパラと撒いて育てやすく、プランターでも失敗しにくい種類です。


株で大きく育つものや、種からではなく苗から植えると育てやすいのが、ミント、ローズマリー、レモンバーム、チャイブなど。

ミントは繁殖しやすく他の植物の生育を邪魔してしまうといわれるほど強いので、種を庭中に巻いてしまうと大変なことになってしまうので要注意。

もちろん種から撒いて元気に育ちますが、鉢に植えるなどして、根っこの可動域を決めてあげるとちょうど良いくらいです。


ちなみにミントは水につけておくと茎から根が生えてくるので、水を換えながらどんどん根を生やした後、土に植え替えることもできます。


photo by Yuka Yanazume

また、エディブルフラワーとしても活躍してくれる花の咲くハーブ類もおすすめです。

お茶で有名なカモミール、青い小さな花をつけるボリジ、黄色やオレンジが華やかなマリーゴールド、葉も食べられるけれどワサビのように辛いナスタチウム、ドライにしても色が美しい矢車草...。

どれもプランターでも育てやすく、寄せ植えにして楽しめるのもお花ならでは。

可愛いだけでなくて虫も避けてくれて、お菓子やサラダにトッピングできるなんて、仕事のできる子です。



コンパニオンプランツとしての役割


また、こうした花類はその香りのおかげで害虫を避けたり、栄養逆に受粉に役立つミツバチを誘ったりと、他の植物にとっても役に立つため野菜作りの際に一緒に育てると

このように互いに良い影響をもたらす植物のことを「コンパニオンプランツ」(共生植物)と呼ぶのですが、ハーブには香りがあるためによくコンパニオンプランツとしてよく使われます。


例えばバジルはトマトやトウガラシ、ミントはキャベツなどのアブラナ科、オレガノはカボチャやきゅうりなどと相性が良いとされています。

ただし同じ科だと交配に注意が必要だったり、逆に相性の悪い組み合わせもあります。

コンパニオンプランツは検索すれば、ずらりと組み合わせが出てくるので参考にしてみてくださいね。



お庭があるならスパイラルガーデンを

photo by ari.co.design


プランターや鉢植えでも十分楽しめるハーブですが、もしお庭があれば「スパイラルガーデン」を作ってみるのもおすすめです。


スパイラルガーデンとは、大きめの石を螺旋状に積んで作る立体的なハーブ菜園のこと。

パーマカルチャーという自然と人間の暮らしが循環するデザイン手法でよく使われるものです。


中心部を高く設計し、高低差のある螺旋型を作ることで、一つの菜園の中に微気候を生み出し多様性をもたらします。

ハーブと言っても栽培に適した条件はそれぞれで、乾燥した土を好むものもあれば、湿度を好むものもあります。


スパイラルガーデンでは、中央部の土が高く盛ってある部分は水捌けが良いのでローズマリーやタイム、オレガノなどを植え、地面に近い下の方は湿度が高いことになるので、パセリ、レモンバーム、三つ葉などを植えます。


また高低差と螺旋によって日向と日陰ができるので、その特徴を生かして半日陰にはコリアンダーやルバーブ、日陰の湿地にはミントやチャイブなどを植えるとちょうど良いのです。

また、石は蓄熱性があるため、暖かさを求めるイチゴなども向いています。


もし家に石がなければ竹やレンガや鉢などを代用しても大丈夫です。

〇〇がなければすぐに買ってくる前に、何か使えるものはないかぐるりと見渡してみる。

その場にあるものを活用して、一つのものに多機能性を見出すのもパーマカルチャー的視点です。

これは使えるかな?あれが使えるかも?と面白がってみてください。


photo by Yuka Yanazume

ファームキャニングが主宰する畑クラブ(詳細はこちら)でも小さなスパイラルガーデンを作り、ハーブを楽しんでいます。

冬はほとんど枯れますが、短く枝を切っておいてあげると、寒さの中でも土にへばりつきながら葉っぱを生やし、とても力強い香りを放っていました。

畑クラブではハーブバターを作ったり、ハーブペーストを作ったりしていただきます。



暮らしを彩り、美味しく保存

photo by ari.co.design


ほとんどのハーブは簡単に栽培でき、収穫してもすぐにお茶や料理に使えるのでとても便利です。

レモンバーム、レモングラス、ミント、カモミールなどはフレッシュなままお茶にしましょう。葉っぱをちぎってポットに入れてお湯を注ぐだけ。

ハーブが持つ効能を調べながら、その日の自分に合ったオリジナルミックスを楽しめるのはハーブを育てている醍醐味です。


ディルやフェンネル、イタリアンパセリ、コリアンダーなどの葉が柔らかく、香りも優しいものはフレッシュのままサラダに。エディブルフラワーの花びらも散らしたら、いつものサラダが華やかで特別な1皿になります。


ミント、レモングラス、チャイブなどは生春巻きに撒いたり、白身魚と一緒に蒸して、ナンプラーやチリソースをかけたらエスニックな一品の出来上がり。

カルパッチョなどと合わせてもおしゃれな味わいです。

photo by ari.co.design


イタリア料理に欠かせないタイムやオレガノはトマトソースに入れるだけでなく、オリーブオイルやワインビネガーに漬けておくと香りの良い調味料になり、小瓶に入れてプレゼントすると喜ばれます。


そして食べるだけでなく暮らしの彩にも大活躍するハーブたち。

花瓶に生けて飾ったり、例えばローズマリーはトウガラシと一緒に大きめのリースを作ってドアに飾るなど、季節ならではの贅沢な楽しみがたくさんあります。


小さなブーケにして贈り物に添えるのも素敵です。

photo by Yuka Yanazume

ほんの少しあるだけで、いつもの暮らしの中に季節感や華やかさを取り入れられるのがハーブの魅力。

この春を機に、ぜひハーブのある暮らしをスタートしてみてください。

きっとあなたの心の内も彩られ、うきうきとした明るい気持ちが芽生えてくることと思います。






bottom of page