• Chie Nishimura

へちまとマイクロプラスチックと。(文:西村 千恵)


今年ももう夏が過ぎ、秋の空気を感じる時期になりましたね。

農家さんたちはせっせと秋冬野菜の種まきや苗づくりに励まれていて、畑の様子もすっかり夏野菜の勢いはなくなり違う表情になっているようです。

この時期、収穫して嬉しいのがヘチマ。

食用だけでなく、台所用のたわしとして大活躍してくれる優秀な作物なのです!

そのため夏に植えるおすすめの野菜を聞かれると、場所があるならヘチマもよくおすすめするほど。

このヘチマは比較的どんなところでも育ってくれるので栽培しやすく、夏の暑い時期には葉が生い茂り緑のカーテンで涼しくしてくれる利点もあります。

まだ実が青い時期に収穫してウリとして食べられますが、あまり野菜として出回ってるのは見かけませんよね。

油で炒めて味噌で味付けをして炒め煮にするなどしても、とろっとした食感でご飯のすすむ美味しい一品になります。



昔から体や食器を洗うために、たわしとして利用されてきています。

おばあちゃんの家のお風呂につる下がっているのを見たことがある方もいるのでは?

そのままでは皮膚が赤くなりそう!なほど、乾燥しているとカチコチになるのですが、水を吸収すると柔らかくなります。

そのため食器を洗っても傷付けません。 そして何より嬉しいのが水の切れがよく、長持ちすること。

マイクロプラスチックが気になって、いろいろな自然素材のもので食器洗いに使ってみましたが、なかなか乾かず衛生面が気になってしまうものや、すぐにボロボロになってしまって使い続けられなかったり、、、と気持ちよ使えないものが多かったのです。


さて、最近よく耳にするマイクロプラスチック。

わたしは海に面した町に住んでいるのでプラスチック問題は身近な問題として子供たちの間でも話題になっています。

海に行くと、どこからか流れ着いたペットボトルやプラスチックのゴミの他に貝殻や石に混じって細かく砕けたプラスチック破片が無限に目に入ってきます。

このマイクロプラスチックとは、約5ミリ以下のもので、海の生物がこのマイクロプラスチックを食べてしまうことで生態系を壊してしまうと懸念されているものです。

もちろん、このマイクロプラスチックを食べた魚を人間や他の動物が食べることになるわけですから、人間を含めた生き物の健康被害も考えられています。

2019年に世界自然保護基金(WWF)のレポートでは「私たちは一週間あたり5グラム、だいたいクレジットカード一枚分と同量のプラスチックを食べている」と発表され世界中に衝撃を与えました。


また環境省の調べによると


「毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もあり、

また、海洋プラスチックごみの主要排出源は東アジア地域及び東南アジア地域であるという推計もあることから、開発途上国を含む世界全体の課題として対処する必要があります。」

とされています。(※出典:環境省 令和元年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書)


800万トンと聞いてもピンとこないかもしれませんが、日々の私たちが出しているプラスチックの微細なカケラたちなのです。

例えば合成繊維の衣類を洗濯すれば、フィルターにかからず下水に流れ出る糸くず。

例えばお風呂掃除やキッチンで洗う時にゴシゴシ擦れば少しずつ削れていくスポンジ。

捨てている意識がなくても、日常生活の中で海に流してしまっている現状があります。

ちなみに一般的に売られているスポンジはほとんどはポンジナイロン、メラミン、ポリエステルなどの素材です。

少しずつすり減り、粒子が細かいために下水でも完全に除去されず海に流れていると思うと、私は自然に戻っても心配ないものを使いたいなと思うようになりました。

そしていろいろな天然素材のスポンジを試してみる中で、ある時へちまの切りっぱなしを使う機会がありました。

すると、驚くほどタフではありませんか!

どれだけ使ってもヘタレず、さらにぎゅっと握って放っておけばすぐに乾いてくれて衛生的。

鍋の頑固な焦げなどは取れにくいですが、そんなに汚れのひどくないお皿やグラスを洗うには全く問題ありません。

お湯で流せばほどんどの油は落ちますし、もちろん使い終わった紙類などで油を拭き取ってからお湯で洗えばたくさんの洗剤を使う必要もありません。



そして我が家のキッチンのスポンジ優秀賞はへちまだ!!と決定してすぐに、へちまを育ててみることにしたのです。

4月下旬ごろ、気温も暖かくなってきたら種まきのタイミング。

一つのポットに3粒くらい植えて、発芽して本場が4~6枚になった植えつけをして、水をたっぷり与えて育てます。

へちまの実がなって、10~14日経った頃が食べ頃ですが、たわしにするならそのまま青いへちまを蔓から切らず放置しておくと徐々に枯れて、茶色になるのを待ちます。大体9~10月まで待ちます。

水分が抜けてきた実を収穫し、パリパリと皮が手で剥けるようならそのまま剥いてしまえばもうたわしの完成です!

もしまだ剥けほどではないな、青いけどとってしまった、という場合は茹でて皮を剥く方法がおすすめです。

大きな鍋に入るくらいにへちまを切り、たっぷりのお湯を沸かしたら入れて30~40分ほど煮るだけ。

熱いので十分に気をつけてざるに揚げ、水に浸すなどして冷まします。

完全に冷めたら皮をペリペリと手で剥き、水気を切ったら洗濯バサミなどで挟んで乾燥させて出来上がり。

使いやすい大きさに切れるのも便利な一面です。



さらに、抗酸化成分がたっぷりあると言われているへちま水は古くから日本で化粧水として使われてきています。

根から吸い上げてきた水を、茎を切って採取するだけ。江戸時代には「美人水」とも言われたのだそう。

こうしてみると、昔から自然の恵を食べるだけでなく、暮らしに活かしてきた先人達の知恵には脱帽です。

社会問題があるということは、心地よい未来と暮らしのために自然の豊かさを見直す良いタイミング。そんな気持ちでぜひ天然素材を見直してみてくださいね!きっとあなたにぴったりなものが見つかるはずです。