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【インタビュー|2021.12.17】自然にも人にもやさしい、まぐろのごちそう。FISHSTAND 石橋 悠さん

第6回目のRing the Bell HAYAMAのライブ配信は、まぐろ問屋が作るまぐろ加工品のショップFISHSTANDの石橋 悠さんをお招きしました。
いつもの藤本 由紀子さんに代わりナビゲーターを務めたのは、FARM CANNING西村千恵さん。
2人の仲の良さが垣間見れる和気あいあいとした雰囲気の中、すずえの小鉢に映えるまぐろ料理を作っていただきました。
まぐろのおいしさを再発見させてくれるFISHSTANDは、立ち上げからわずか3年とは思えないほど大人気。このお正月も、実家や大切な方への贈り物に選んだという方も多いかもしれません。「おいしい」の背景にも目を向けたFISHSTANDや三崎恵水産の活動について、たっぷりお話をうかがいました。
まぐろ問屋が選び作り、家庭の食卓へ

— FISHSTANDについて教えてください。
母体の「三崎恵水産」は三浦半島の城ヶ島で半世紀続くまぐろ専門の卸問屋で、全国の量販店や飲食店、旅館などにまぐろを卸しています。
夫が恵水産の2代目を務めていて、結婚を期に私も三崎へとやってきました。
問屋は表に出ない仕事ですが、現場の皆さんと関わる中でこんなにもまぐろ愛にあふれる恵水産を一般のお客さまにも知ってもらいたいと3年前に立ち上げたのがまぐろ専門のオンラインショップ「FISHSTAND」。
ご家庭で気軽に召し上がっていただけるまぐろ加工品を開発し、販売しています。
原点は、子どもやお友達のため作っていた自家製ツナ。そこから、FISHSTANDの商品第1号「まぐろコンフィ」が生まれました。
— 以前から料理のお仕事をされていたのですか?
嫁いでくる前は東京で広告の仕事や音楽雑誌の制作などをしていました。
料理は好きでしたが、魚の裁き方も結婚してから夫に教わったくらい。
プロの料理人ではないので普通の家庭料理がベースです。
だからこそ家族のために食事を作るお客さまと同じ視点で、商品やレシピの提案ができるかなと思っています。
日本のソウルフィッシュ まぐろ

— まったく違った世界に入ることへの戸惑いはありませんでしたか?
最初はやはりありました。
恵水産では以前から飲食店などに卸すまぐろの加工品を作っていたのですが、例えばまぐろの漬けには色味を保つためにも通常は添加物を使用します。
FISHSTANDの商品開発をスタートした頃、無添加で作りたいと言っても加工の現場の方々になかなか理解してもらえず……
こんな思いがあってこんなレシピで作りたいということを伝えながら、試行錯誤して商品化していきました。
— 商品に込めた思いやこだわりは?
まぐろは大衆魚とも言われていて、日本人のソウルフィッシュみたいなもの。
好きな方も多いですし、スーパーなどでは比較的安価で購入することもできますよね。
一方でまぐろは、世界的にも限りある資源。
いいものをちょっと特別な日に食べるというのが、人にとってもまぐろにとっても幸せなのかなと思っています。
三崎で水揚げされるまぐろは年々減っていて、トラックで陸送されてくるものも多い。
地元である三崎港の水揚げを盛り上げたいという思いもあり、まぐろコンフィなどには三崎港で水揚げされたものに限定して仕入れています。
また、できる限り無添加で環境に負担の少ない素材を使うように心がけています。
未来につづくまぐろ産業を

— 恵水産は持続可能な取り組みでも知られていますよね。
東日本大震災をきっかけに、当時すでに恵水産に入社していた夫は自分が関わるまぐろを取り巻く問題を一歩ずつ解決していきたいという思いを抱いたようです。
まぐろ産業は、遠洋漁業ののち鮮度を保ったまま運ぶことができる超低温冷凍庫のおかげで成り立っているようなもの。
マイナス60℃を保つために、それはそれはたくさんの電気を使うんです。
使うからにはなるべくクリーンな電気を選びたいですし、まぐろ産業を持続させるためにも必要なことなのではないか。
私たちは漁師ではないので流通業者としてできることをしよう、と夫とは常々話しています。
恵水産では自社で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーにするという目標を掲げ、2012年に社屋の屋上に太陽光パネルを設置、2020年には第二加工場の電力を自然電力に変えるなど、徐々に移行しているところです。
— 最近はじめられた「まぐろでんき」も気になります。
まぐろでんきは自然電力(株)の代理業を行っていて、使用電力の一部または全てを再生可能エネルギーに変更するお手伝いをしています。
自然エネルギーに興味がある方は増えていますが、切り替えるきっかけがなかったり、何を基準に選んだら良いかわからなかったり。
そういった方々に「食べるものを選ぶように電気を選ぼう」というメッセージにのせて、電気が作られる背景にも思いを馳せながら、日々の暮らしの選択を持続可能なものに変えていくアクションをしていきたいと思っています。
ゆくゆくは地域産業全体にも広がって、三崎が自然エネルギーの街になったら素敵ですよね。
— 悠さんにとって「サステナブル」とは?
「心地のよさ」です。
私の心地よさとあなたの心地よさも違うし、人間の心地よさと動物の心地よさも違う。
それぞれの心地よさを尊重して生きていけたらいいなと思っています。

すずえの器に盛るだけでごちそうになってしまうFISHSTANDの「まぐろ角煮」のほか、まぐろのお刺身を使った「塩まぐろのいくらのせ」「まぐろとタコのポキ」、ポキをアレンジした「生春巻き」を作っていただきました。
まぐろ問屋直伝!まぐろのお刺身をおいしくいただくコツなども必聴のお料理の様子は、過去のLIVE動画でご覧いただけます。
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