- hiromisato9
【インタビュー|2021.11.26】おいしくて心地いい野菜との関係。FARM CANNING 西村千恵さん

サステナブルな取り組みをしている方をお招きしてお届けしているRing the Bell HAYAMAのライブ配信。第四回目は、ショップのプロジェクトメンバーでもあるFARM CANNINGの西村千恵さんが登場。感動的な手際の良さで、あっという間に4品のお料理が出来上がりました。
いつ会ってもポジティブなオーラが満載、おいしい循環を生み出している千恵さん。FARM CANNINGのことや野菜への思い、楽しく活動を続ける秘訣など、いろいろと教えてもらいました。
もったいない野菜をオリジナルのびん詰めに

— FARM CANNINGはどんな活動をしているのですか?
規格外で市場に出せない野菜を農家さんから買い取り、バーニャカウダやジェノベーゼなどのソースに加工したびん詰めを作って販売しています。
統計によると、収穫される野菜のうち約1/3が規格外で破棄されているのだとか。
それを加工して少しでも販売することができたら農家さんにも還元できるし、びん詰めというカジュアルな形にすることで無農薬や無科学肥料の野菜を気軽に食卓に取り入れるきっかけになれるかもしれない。そんな思いで活動しています。
その他にも、このライブ配信も行なっている逗子ののせさんの敷地をお借りして野菜作りと季節の料理を楽しむ「畑クラブ」を開催したり、コロナ禍以前はもったいない野菜を使ったケータリングも行なっていました。
— スローフード三浦半島支部の立ち上げメンバーでもあるんですよね。
スローフードは30年くらい前にイタリアではじまった草の根運動で、工業化されてしまった食のシステムを見直して、伝統的な食文化を守ろうというもの。
当時進出しはじめたファーストフードに対抗し、郷土に根付いた食を大切にしようと始まりました。
イタリアで開催されるスローフードの祭典に参加できる機会があり、行ってみたらとにかく楽しくて。
草の根運動というから真面目な雰囲気を想像していたら、全く違いました。
こんな風に楽しくおいしく世の中を変えていくっていいなと、一緒にイタリアに行ったメンバーを中心に三浦半島支部を立ち上げました。
楽ちんで、おいしくて、体も心も喜ぶものを

— 華やかなメニューがあっという間に完成して感動しました。
FARM CANNINGのびん詰めのテーマの1つが、「まぜるだけ、つけるだけ、のせるだけ」であっという間に賑やかな食卓が出来上がること。
そのままソースやディップとしても使えますが、今回はかんたんなアレンジレシピを紹介しました。
例えばベジバーニャはアンチョビの代わりに自家製の塩麹を使っていたり、植物性なのにしっかりコクもあるので、シンプルに合わせるだけでおいしく仕上がります。
今日はベジバーニャ ビーツを使って里芋のポテトサラダを作りましたが、ジャガイモはもちろんカリフラワーで作るのもオススメ。
ショートパスタとお好みの野菜と和えてパスタサラダにしても、ピンクが映えて食卓が華やかになります。
ちなみに私はスープやカポナータを作る時、オイルにニンニクを入れる代わりにベジバーニャで野菜を炒めたりします。
風味とコクがかんたんに出るので、びん詰めが少し余ってしまった時などぜひ試してみてください。
— びん詰めのレシピはどのように考えているのですか?
野菜の中でも規格外になりやすいものがいくつかあり、それを活かすレシピを考えています。
FARM CANNINGのびん詰めの中でも人気のあるベジバーニャ ニンジンも、大量に出てしまう規格外ニンジンをレスキューするために誕生したもの。
根菜類は、股割れになりやすかったり真っ直ぐ育たなかったり、不揃いになりやすいんです。
同じくベジバーニャに加工しているビーツも、大きさがバラバラになりやすい野菜。
ポタージュにしてみるなど最初はいろいろ試しましたが、万能調味料のように1つでいろいろな料理に使えるソースがメインのラインナップとして落ち着いています。
もちろんていねいに暮らすことも素敵ですが、忙しい中なんでも真面目にやりすぎて苦しくなってしまっては本末転倒。
手を抜くところは手を抜いていいと思うんです。楽ちんでおいしいなら、それがいちばん!
野菜はそれの最たるもので、農家さんが歳月かけておいしく育ててくれていますから、シンプルにそれを味わえるだけで十分幸せですよね。
何が正しいかより「この指止まれ」の気分で

— お話の中にポジティブなワードがたくさん出てくるのが印象的です。
おいしい、楽しい、心地いいといった、自分の感覚はふだんから大事にしています。
逆に何が正しいかを指標にしてしまうと、間違った方向へ行きかねない気も。
みんなそれぞれ違うというのが社会であり、私も正解はわかりません。
全部を理解するのは難しくても1つでも共感できるポイントがあれば、それだけで仲良くなれたりするものですよね。
それに、おいしい香りがしたり、楽しい音がしたら、自然と仲間は集まってくるはず。
「この指止まれ」くらいの気持ちでいるのが、ちょうどいいのかもしれません。
最初は私1人だったFARM CANNINGも、手伝ってくれる仲間が増え、生産者さんとのつながりも広がりました。
— そう考えると「おいしい」の共感力は偉大ですよね。
そうですね。最近は考え方もよりシンプルになってきて、大好きな野菜のおいしさ、おいしい食べ方をもっと広めたいなと思っています。
食べた野菜がおいしければ、それを作った生産者さんのことを知りたくなるし、例えば規格外でたくさんの野菜が破棄されてしまうといった畑の背景にも興味を持ってもらえるかもしれない。
おいしいから、楽しいから、と選んだものが、環境にやさしかったり誰かを助けることにつながったり。
関わるみんなが自然とハッピーになれるような循環が生まれるといいなと思っています。
— 千恵さんにとって「サステナブル」とは?
「心地のいいつながり」です。
どんな人がご飯を作っているのか、お野菜を作っているのか、顔が見えるつながりもその1つ。
あの人が作ってくれたからおいしく食べよう、と思い浮かべながらいただくだけで温かく嬉しい気持ちになります。
「ねばならない」と難しく考えてしまうと続かないですが、そういった心地いい関係やそこから生まれたものは自然と続くと思うし、次の世代にも残せたら素敵ですよね。

今回作っていただいたのは、FARM CANNINGのびん詰めを使った「ブロッコリーのバーニャ和え」「里芋のピンクポテトサラダ」「グリーンライスボール」と、WECKのびんを使った「フレッシュみかんソース」。
野菜をおいしく食べるヒントが満載の料理の様子は、過去のLIVE動画でご覧いただけます。
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