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  • 執筆者の写真Ryuzo Akano

【店主赤野のサステナブルなカリフォルニア滞在記】第1回:旅のはじまり



2020年12月5日深夜。


僕はタクシーで羽田空港・国際線ターミナルに向かっていました。


最終目的地はアメリカ、サンフランシスコ国際空港。




旅の目的は2つありました。


ひとつは過去の自分に会いに行くこと。


高校時代、多様なジャンルを融合させたロック系クロスオーバーミュージックに傾倒していた僕は、いつしかミュージシャンになるという夢を抱くようになっていました。


やるならば本場で。と高校卒業後、スーツケース1つとエレクトリックギター1本とともに渡米。


ローカルバンドに加入し、当時スラッシュメタルやファンクロック、ハードコアパンク、グランジ、といったジャンルが盛り上がっていたサンフランシスコベイエリアを中心にライブ三昧の日々を送っていました。


その後いくつかのターニングポイントを経て、ミュージシャンになりたかった僕がうつわ屋さんをしているのだから人生はおもしろい。


あんなに好きだったギターに触れることも今ではほとんどなくなりましたが、ある時ふと昔の自分に会いに行きたくなったのです。



(ベイブリッジから眺めるサンフランシスコの景色)


そしてもうひとつは、映画「ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方(原題:The Biggest Little Farm)」の舞台となったアプリコット・レーン・ファーム(Apricot Lane Farms)を訪れること。


鑑賞のきっかけは、横須賀にある会員制の里山体験・農園「ありんくりんの森」の伊藤力さんのSNS投稿でした。

そこに綴られていたのは、オンライン上映会のお知らせとともに参加者不足によって開催が危ぶまれているというメッセージ。


伊藤さんは、自然と調和した畑作りや里山暮らしに魅せられ、「全ての家族に菜園を」をテーマに活動を続けている方。


湘南国際村の土地を一から開墾した農園で、里山の循環に触れながら野菜作りなどを学べるスクールを2020年まで運営していました。


その中にあったのが、欲しい野菜を自由に畑から収穫して購入できるという農園スーパー。


お客さんとして通ううちに伊藤さんと知り合い、ありんくりんの森で採れた無農薬野菜をRing the Bell HAYAMAで販売させてもらっていました。



そんな彼が主催する上映会なら、とほんの軽い気持ちで申し込み鑑賞。


映画の内容は、都会で暮らしていた夫婦が郊外へ移り住み、大自然と共生しながら美しい農場を作りあげていく8年間を描いたドキュメンタリー。


「この農園に今すぐ訪れたい」と思わせるのに、十分な説得力がありました。


調べてみると、舞台となったアプリコット・レーン・ファームは農場ツアーを行うなど一般にも開かれた場所になっていることがわかり、そうなるとますます思いは募るばかり。

「こんな社会情勢の中、行けるわけないだろう。そもそも飛行機だって飛ばないかもしれない」と左脳は鼻から否定的です。

対して、「万難を排して行くべきだ。きっとなんとかなる!」と右脳。

これまでの人生でもかなりの確率で右脳を信じてきた僕は、今回も例に違わず右脳に従うことにしました。


とはいえ事情が事情なので、不安と葛藤を抱えながら航空券を予約。

日程と降着地の変更はあったものの、フライト当日を迎えることができました。

7名。それが周囲を見回して確認できた乗客の数。

おそらく全員がアメリカへの帰国目的。旅行者はもしかすると僕だけだったかもしれません。

飛行機はほぼ予定時刻通りにテイクオフし、中央座席4列を占拠した快適な空の旅を経てサンフランシスコ国際空港にタッチダウン。


(サンフランシスコ国際空港の入国ゲート)


覚悟していた通り入国審査は厳しいものでしたが、現地在住の友人の力添えもあり、滞在許可スタンプをパスポートに押してもらうことができました。

スーツケースには、アメリカでの10日間に及ぶ自己隔離に備えて食料品がぎっしり。

日本出国前に成分表と睨めっこした甲斐あって持ち込み禁止のものは見つからず、結果はオールクリア。

空港の外に出られた時は、すっかり魂の抜け殻のようになっていました。

ここから、カリフォルニアでの長い旅がはじまります。




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